Scroll to navigation

INET_PTON(3) Linux Programmer's Manual INET_PTON(3)

名前

inet_pton - IPv4/IPv6 アドレスをテキスト形式からバイナリ形式に変換する

書式

#include <arpa/inet.h>
int inet_pton(int af, const char *src, void *dst);

説明

この関数は文字列 src を、アドレスファミリー af のネットワークアドレス構造体に変換し、 dst にコピーする。 af 引き数は AF_INETAF_INET6 のどちらかでなければならない。

現在サポートされているアドレスファミリーは以下の通りである。

src はドット区切りの 10 進数形式 "ddd.ddd.ddd.ddd" の IPv4 ネットワークアドレス文字列へのポインタである。 ddd は 0 から 255 までの範囲の最大 3 桁の 10 進数である。 このアドレスは struct in_addr に変換されて dst にコピーされる。 dst の長さは sizeof(struct in_addr) (4) バイト (32ビット) でなければならない。
src は IPv6 ネットワークアドレスが格納された文字列へのポインタである。 このアドレスは struct in6_addr に変換されて dst にコピーされる。 dst の長さは sizeof(struct in6_addr) (16) バイト (128 ビット) でなければならない。 以下の 3 つのルールにしたがった形式が IPv6 アドレスとして入力できる。
1.
推奨形式は x:x:x:x:x:x:x:x である。この形式は 8 個の 16 進数から構成され、 各々の 16 進数は 16 ビット値を表す (x は最大 4 桁の 16 進数である)。
2.
推奨形式の中の連続する 0 の列は :: に短縮できる。アドレス中で使用できる :: は 1 個だけである。 例えば、ループバックアドレス 0:0:0:0:0:0:0:1::1 と短縮できる。 全ビットが 0 で構成されるワイルドカードアドレスは :: と記載できる。
3.
IPv4 をマッピングした IPv6 アドレスを表記するには別の形式が便利である。 この別の形式は x:x:x:x:x:x:d.d.d.d と書くことができる。 最初の 6 個の x はアドレスを 16 ビット単位に区切ったときの上位側 6 個分 (つまり 96 ビット分) を定義する 16 進数であり、 d の部分はアドレスの下位 32 ビットをドット区切りの 10 進数表記で表したものである。 ::FFFF:204.152.189.116 はこの形式の例である。
IPv6 アドレスの表現方法の詳細については RFC 2373 を参照のこと。

返り値

成功する (ネットワークアドレスが正常に変換される) と、 inet_pton() は 1 を返す。 src が指定されたアドレスファミリーに対する 正しいネットワークアドレス表記でない場合には、 0 を返す。 af がサポートされているアドレスファミリーでない場合には、 -1 を返し、 errnoEAFNOSUPPORT を設定する。

準拠

POSIX.1-2001.

注意

inet_aton(3)inet_addr(3) と異なり、 inet_pton() は IPv6 アドレスに対応している。 一方で、 inet_pton() が受け付ける IPv4 アドレスはドット区切りの 10 進数表記だけである。 これに対し、 inet_aton(3)inet_addr(3) ではもっと一般的なドット区切りの数字表記 (16 進数や 8 進数の形式や、 4 バイト全てを明示的に書かなくてもよい形式) が使用できる。 ドット区切りの数字表記で IPv6 アドレスと IPv4 アドレスの両方を扱える インターフェイスについては、 getaddrinfo(3) を参照のこと。

バグ

AF_INET6 は IPv4 アドレスを認識しない。 代わりに IPv4 アドレスをマッピングした IPv6 アドレスを src に与えなければならない。

以下のプログラムは inet_pton() と inet_ntop(3) の使用例を示すものである。 実行すると以下のようになる。

$ ./a.out i6 0:0:0:0:0:0:0:0
::
$ ./a.out i6 1:0:0:0:0:0:0:8
1::8
$ ./a.out i6 0:0:0:0:0:FFFF:204.152.189.116
::ffff:204.152.189.116

プログラムのソース

#include <arpa/inet.h>
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <string.h>
int
main(int argc, char *argv[])
{

unsigned char buf[sizeof(struct in6_addr)];
int domain, s;
char str[INET6_ADDRSTRLEN];
if (argc != 3) {
fprintf(stderr, "Usage: %s {i4|i6|<num>} string\n", argv[0]);
exit(EXIT_FAILURE);
}
domain = (strcmp(argv[1], "i4") == 0) ? AF_INET :
(strcmp(argv[1], "i6") == 0) ? AF_INET6 : atoi(argv[1]);
s = inet_pton(domain, argv[2], buf);
if (s <= 0) {
if (s == 0)
fprintf(stderr, "Not in presentation format");
else
perror("inet_pton");
exit(EXIT_FAILURE);
}
if (inet_ntop(domain, buf, str, INET6_ADDRSTRLEN) == NULL) {
perror("inet_ntop");
exit(EXIT_FAILURE);
}
printf("%s\n", str);
exit(EXIT_SUCCESS); }

関連項目

getaddrinfo(3), inet(3), inet_ntop(3)

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.51 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。

2008-06-18 Linux