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REALPATH(3) Linux Programmer's Manual REALPATH(3)

名前

realpath - 正規化された絶対パス名を返す

書式

#include <limits.h>
#include <stdlib.h>

char *realpath(const char *path, char *resolved_path);


glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7) 参照):

realpath():

_BSD_SOURCE || _XOPEN_SOURCE >= 500 || _XOPEN_SOURCE && _XOPEN_SOURCE_EXTENDED

説明

realpath() は path として与えられた NULL 終端された文字列中の すべてのシンボリックリンクを展開し、 /./, /../ による参照や余分な '/' を解決して、正規化された絶対パス名を生成する。 得られた絶対パス名は、最大で PATH_MAX バイトの NULL 終端された文字列として、 resolved_path により参照されるバッファに格納される。 結果として返るパスの中には、シンボリックリンクや /./, /../ といった要素は含まれない。

resolved_path に NULL が指定されると、 realpath() は malloc(3) を使って解決したパス名を保持するためのバッファを 最大で PATH_MAX バイトまで割り当て、このバッファへのポインタを返す。 呼び出し元は、 free(3) を使ってこのバッファを解放すべきである。

返り値

エラーがなかった場合、 realpath() は resolved_path へのポインターを返す。

それ以外の場合は、ヌル (NULL) ポインターが返り、配列 resolved_path の内容は不定となり、 errno にエラーの内容を示す値がセットされる。

エラー

パスのディレクトリ部分に、読み出し許可または検索許可が与えられていない。
path が NULL である。 (バージョン 2.3 より前の glibc では、 resolved_path が NULL の場合にもこのエラーが返される。)
ファイルシステムを読むときに、I/Oエラーが起こった。
パス名の変換にあたり、解決すべきシンボリック・リンクの数が多過ぎた。
パス名の一要素の文字数が NAME_MAX を越えている、またはパス名全体の文字数が PATH_MAX を越えている。
指定されたファイルが存在しない。
パスのディレクトリ要素が、ディレクトリでない。

バージョン

Linux では、この関数が登場したのは libc 4.5.21 である。

準拠

4.4BSD, POSIX.1-2001.

POSIX.1-2001 では resolved_path が NULL の場合の動作は実装に依存するとしている。 POSIX.1-2008 では、このマニュアルページに書かれている動作が規定されている。

注意

4.4BSD と Solaris では、パス名の長さの上限は (<sys/param.h> の中にある) MAXPATHLEN である。SUSv2 では PATH_MAXNAME_MAX が規定されており、 これらは <limits.h> で定義されているか、 pathconf(3) 関数から得られる。以下のようなソースコードになっていることが多い。


#ifdef PATH_MAX

path_max = PATH_MAX; #else
path_max = pathconf(path, _PC_PATH_MAX);
if (path_max <= 0) path_max = 4096; #endif

(バグの章も参照のこと。)

realpath() のプロトタイプ宣言は、 libc4 と libc5 では <unistd.h> にあるが、それ以外の環境ではいずれも <stdlib.h> にある。

GNU による拡張

呼び出しが EACCESENOENT で失敗し resolved_path が NULL でない場合、読むことができない、もしくは存在しない path のディレクトリ要素 (prefix) が resolved_path で返される。

バグ

この関数の POSIX.1-2001 版は、設計段階から問題がある。 出力バッファ resolved_path の適切なサイズを決定することができないからである。 POSIX.1-2001 ではバッファ・サイズとして PATH_MAX は十分だとされているが、 PATH_MAX は定義済の定数である必要はなく、 pathconf(3) を使って得られる値であってもよいことになっている。 pathconf(3) からバッファ・サイズを取得したとしても必ずしも十分ではない。 なぜなら、POSIX で警告されているように、 pathconf(3) の返り値が大き過ぎて適切にメモリを確保することができない かもしれない一方で、 pathconf(3)PATH_MAX に制限がないことを示す -1 を返すかもしれないからである。 resolved_path == NULL の機能を使うと、この設計上の問題を回避することができる。 この機能は POSIX.1-2001 では標準化されていないが、 POSIX.1-2008 では標準化されている。

libc4 と libc5 の実装はバッファ・オーバーフローの可能性を持っていた (libc-5.4.13 で修正されたが)。したがって、 mount(8) のような set-user-ID されるプログラムでは、この関数相当の関数を自前で持つ必要があった。

関連項目

readlink(2), canonicalize_file_name(3), getcwd(3), pathconf(3), sysconf(3)

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 3.51 の一部 である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は http://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。

2013-03-15